吹田の郷 吹田の風景シリーズ 


1. 棚田と旧い民家が残る佐井寺界隈  (2010.2号)
この時はスケッチブックを片手に千里山駅から歩いてきたのだが佐井寺は起伏に富み、古い民家が多く、途中、迷路のような道で方角がわからなくなりは配達中の方に道を尋ねたりしてきた。この絵は南側から古い民家のある集落の方を描いたもの。
 外はセミの鳴き声がうるさく、気温は体温を超える暑さ。老体にとってはこの季節スケッチに出かける気力もない。と言って、表紙絵が長い間同じ絵を載せておくのも不満がある。
 そんなことで、2010年2月から2013年6月まで「吹田の郷」というNPO法人すいた市民環境会議の冊子の表紙絵を描かせてもらっていたので、それでも載せようかと思い立った。
 この冊子は過ってのガリ版印刷のようなモノクロで、しかも、紙も薄く裏面の印刷が透けて見えるという冊子だ。それを安物のスキャナーでコピーしてみたのだが、結構モノクロの面白さもあるかなあと思うものになったし原画を探すのも大変なのでそのまま載せることにした。
右の絵がそのスタートとなるスケッチ。佐井寺は起伏に富んでいて古い民家が多いこの絵は田圃の方から集落の方を描いたもの。

                                                 (2016.08.11記)

2. 千里北公園から千里中央方面を遠望 (2010.4号)
初冬に訪れたとき、阪急北千里駅の北側の東西を走る三色街道はタイワンフウの街路樹で赤く染まっていた。その突き当りを曲がったところに万博公園に次いで大きき千里北公園がある。坂を上ったところに新宮晋作の「風の道」というモニュメントがある。少し行くと原っぱが眼下に広がり千里中央あたりが遠望できる。

3. 日本民家集落博物館(2010.06号)
吹田市は北に万博公園、西に服部緑地と大きな公園に恵まれている。僕にとっては服部緑地はいつも散歩している身近な公園だ。その一角に日本民家集落博物館があり緑豊かな敷地内に日本各地の代表的な12棟の民家が移築復元されている。この絵は手前に大和十津川の民家、奥が越前敦賀の民家があるところ。

4. 大阪大学吹田キャンパス医学部付属病院(2010.08号)
吹田市には大阪大学、関西大学、大阪学院大学、千里金蘭大学、国立民族学博物館(大学院大学)の5つの大学があり、全国でも有数の大学あるまち。
キャンパスの吹田への移転は1967年以降のため古い建物はない。しかし、緑豊かな中に近代建築群のある健康的なキャンパスだ。モノレール阪大病院前に行くと一般市民が多く、附属病院は市民に身近な施設なのかもしれない。
 5.大阪学院大学キャンパス(2010.10号)
大阪学院大学はJR岸辺駅と阪急正雀駅近くにある。前身は関西簿記研究所で1963年に設立された大学。
街路樹に覆われたゲートからキャンパスに入ると、茶色のレンガタイルの建物で統一され、外部はうっそうとした樹木と広場。1983年に日本造園学会賞を受賞したとのことだが、これだけ緑豊かなキャンパスも少ないかもしれない。

6.千里金蘭大学キャンパス(2010.12号)
千里金蘭大学キャンパスは阪急北千里駅を降りて三色彩道を通り抜けたところに位置し、北側に千里北公園、南側に大阪大学がある緑豊かなエリアだ。大学とともに短期大学部および金蘭千里高等・中学校が併設されている。1905年に女子教育を目的に設立された私立金蘭会女学校が前身だ。
訪れたのは三色彩道も少し色づき、ちょうど学園祭の開かれる時期。キャンパス内でのスケッチには多少抵抗があったので、校門あたりを道路わきの芝生の中からスケッチしてみた。


7.国立民族学博物館(みんぱく) (2011.02号)
通称「みんぱく」は文化人類学・民族学の研究活動と成果を展示公開する博物館としての機能のほか、博士課程の大学院という教育機能を持っている。大学院は地域文化学と比較文化学で学生数よりも指導教員の方が多いという恵まれた環境のようだ。
この絵は「みんぱく」の正面をスケッチしたもの。描いていると雪が降りはじめ(1月10日:成人の日)描き終わって早々に引き揚げ館内に飛び込んだ。幸いなことにこの日は無料観覧日でゆっくり見学し、帰り道ミュージアムショップで中国のうさぎを買って帰った。

8.EXPO’70パビリオン(2011.04号)
スケッチに来たのは東日本大震災のあった週の日曜日。マイクでABCフェスタとハーフマラソンの中止を放送していた。
太陽の塔の東側にEXPO’70パビリオンは建っている。その広場から建物を主体に何枚かスケッチしたが、たくさんの人たちが元気に遊んでいるのをみると、なんだかたくさんの人を描きたくなって描き込んだ。パビリオンでは岡本太郎生誕100記念展の展示をみて、「進歩と調和」がテーマだったんだなあと懐かしんだ。

9.大阪日本民芸館 (2011.06号)
大阪日本民芸館は日本庭園入り口前の平和のバラ園の東にある。数少ない万博当時の建物の一つだ。春季特別展時「民藝運動の作家達〜芹沢_介を中心として」という看板が掲げてある正面玄関側から何枚か描いた。その後一度も入ったことがないので中に入ってみた。建物は回廊式になっていて中央に中庭があり、たくさんの壺や鉢などが配置されていてなかなか美しい。この絵はその中庭に通じる北側のアプローチ階段付近から描いたもの。

10.万博記念公園 自然観察学習館 (2011.08号)
梅雨明けの強い日差しの日だったが、暑い中小さな子供たちも来ているし大きな望遠レンズで鳥を撮っている人もいる。万博が終わって40年、自然と野鳥と昆虫の宝庫になっている感がある。
学習館に入ってみると、水辺の生き物や昆虫の飼育、自然素材を使った工作見本作品などが展示されている。この絵は入り口近くの木陰に座って描いたもの。

11.旧岸部東村のまちなみ(岸辺中4・5)(2011.10号)
観光マップ「あルック吹田」をもってJR岸辺駅で降り、京都よりの地下道を通り抜けると瓦葺に板塀の立派な旧家がある家並に出る。畑も広がり茅葺屋根の家もある。貨物操車場で駅と地域が分断されていたために大阪に近いにもかかわらず開発から取り残されて古い町並みが残ったのだろう。
この絵は歴史的な景観が保たれていることで吹田市都市景観賞を受賞した街並みで、左手のお寺は大光寺。

12.山田東のまちなみ(山田東4丁目あたり)(2011.12号)
阪急山田駅を降り「あルック吹田」のルートマップに沿って、王子池から宗名寺がある山田東4丁目を通り伊射奈岐神社まで行く。神社では七五三のお祝いの写真を撮っている方もいる。階段を下り再度スケッチポイントを探しながらぶらぶらと引き返した。
この辺りは吹田市の第1回都市景観特別賞だったところだけあって、「吹田千軒、山田千軒」と言われるように、神社やお寺も多く繁栄を感じさえる歴史ある佇まいを感じさせるなちなみだ。

13.旧吹田村のまちなみ(内本町1丁目あたり)(2012.02号)
いつものように「あルック吹田」をもって阪急吹田駅からJR吹田駅まで歩いた。この辺りは京都・大阪・西国を結ぶ要所として栄えた村だけあって、お寺や神社も多く、旧庄屋屋敷や旧家が点在している。
しかし、大阪に近く交通の便が良いこともあって幹線道路ぎわを除いては昔ながらの入り組んだ狭い道路沿いに低層の住宅地が形成されている。そのため美しい街並みとは言い難いがスケッチブックをもってぶらつくと結構楽しいまちだ。

14.吹田歴史文化まちづくりセンター浜屋敷
 JR吹田駅から朝日町商店街あたりをぶらつく。最近はスーパーで買い物をするので店の方と会話しながらの買い物は楽しい。
このあたりは江戸時代から在郷町として発展しただけあって高浜神社や観音寺などのお寺も多い。浜屋敷は旧庄屋屋敷で市に寄贈され、改修して2003年から吹田歴史文化まちづくりセンターとして利用されている。「浜屋敷」という愛称は神崎川河畔という立地と、高浜町、南高浜町の「浜」に「お屋敷」を重ねたものだとのこと。また、訪問者と施設利用者を合わせると年間3万人弱の来訪があるそうだ。
 
15.旧西尾家住宅(吹田文化創造交流館) 内本町2丁目
子供の日、スケッチブックをもって出かけた。この絵はこいのぼりがなびいている庭の片隅に座って描いた。
この辺りは重厚なつくりの民家が散在していて往年の面影を残している。その中でもこの西尾家は絵に描いた母屋のほか茶室、蔵、建築家武田五一の設計による和洋折衷の離れなど多彩な建物で構成されている。
現在は吹田市が管理し、文化創造交流館として一般公開されている。また、2009年に国の重要文化財のに指定されている。
 16.江坂公園と大同生命ビル (江坂町1丁目)
地下鉄江坂駅周辺は土地区画整理で整備され、万博(1970年)に合わせて江坂駅ができ、駅を中心に業務ビルや店舗、ホテル、専門学校などが集積した市の商業業務の中心地になっている。
ユニークなのは新御堂筋の東と西にある江坂を代表する2つの高層ビルの2階と江坂駅が陸橋で直結していてビル内を乗降客が通行できることだ。西側はかってはダイエー本社のあったパシフィックナークス江坂ビルとつながり、愛称「江坂ウエストストリート」方面に通じる。
スケッチしたのは東側にあるアトリウムに観葉植物が植えられている緑豊かな大同生命江坂ビルの2階につながり、ビル内を通り抜けると、緑の丘のある江坂公園に接続しているところからだ。また、江坂公園と一体になった図書館、花のみどりセンター、江坂市民サービス、駐車場・駐輪場が公園の下に配置されている。この公園は地域の子どもたちの遊び場はもとより周辺オフィスに働く人や専門学校の人たちの憩いの場にもなっている。

17.アメニティ江坂 庭園と美術館 (芳野町)
アメニティ江坂は工場跡地を活用した14万uの広大な土地にゴルフ場、テニスコート、バッティングセンターなどのスポーツ施設のほか、大正時代のレンガ造の紡績工場を生かした中国料理店や結婚式場、スケッチした屋外彫刻のある庭園と美術館などがある。
この絵はその市民に開放されている庭園「リーニュ・ブランシュの庭」と隣接している小さな美術館「スキュール江坂」を描いたもの。中に入ってみると作品は少ないが近現代彫刻家、ロダンやジャコメッティなどの作品がやアフリカ仮面・彫刻が展示されていた。
またここは吹田市都市景観賞や大阪まちなみ賞を受賞している。

18.青山公園から青山台小学校方面を望む
今年(2012年)は1962年のニュータウンはちびらきから50年を迎えた。千里ニュータウンは先駆的な考えで計画された住宅都市だ。小学校を中心とした1万人程度の人口規模の範囲を一つの単位「近隣住区」とする「近隣住区論」にもとづき計画されている。
阪急北千里駅から青山公園へ向かう道路沿いには美しい紅葉した街路樹があり、緑豊かな青山台公団住宅がある。高台にある青山公園へのぼると右手に幼稚園、下の方に小学校が見える。その左手に郵便局や店舗のある近隣センターだ。また、高台のくちなし公園の向こうには府公社住宅のところで建て替え工事が進み、変化しつつある街の姿が見える。

19.江坂神社
毎年、初詣に行くのが通称「江坂神社」と呼ばれる江坂町3丁目にある素戔嗚尊(すさのおのみこと)神社、宮号は感神宮だ。今年のおみくじは吉、書かれていた歌は「軒ははの嵐の風はさわぐけども春は覚ゆる内かな」だった。
神社のホームページによると、古くは大阪府豊能郡豊津村大字榎阪、もっと古くは摂津国豊嶋(てしま)郡榎阪村と呼ばれ、奈良春日社の荘園のあった地域で、吹田市江坂町、豊中市若江町、寺内、東寺内町の氏神さまとのこと。

20.関西大学簡文館(博物館)
「すいたHoHoHo」を見てると関西大学の紹介があり、「社会に開かれた大学」という理念のとおり誰でも気楽に訪れることができる博物館として、この簡文館が紹介されていたので早速行ってみた。
簡文館は3つの部分になり、最も古い部分は村野藤吾の設計により1955年に竣工。2007年に登録有形文化財(建造物9に指定された。1階の展示室には旧石器・縄文時代から奈良・平安時代までの考古学資料が展示されていてなかなか興味深い。また、入り口左側に高松塚古墳壁画が再現展示されている。

21.関西大学 総合学生会館メディアパーク凛風館
この日は九彩会の方々とご一緒してキャンパスのスケッチに出かけた。授業が終わり昼の時間になると大勢の学生が集まってきたのがこのユニークな形で、屋上まで植樹されているこの建物だ。
この建物は創立120周年記念事業として2006年に総合学生会館として建設されたもので、学生ラウンジ・ボランティアセンター・購買店のあどのほかホールや会議室もあり、学生や教職員のみならず市民にも広く開放されている。
   
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